2025-05-11
令和7年(2025年)5月、憲法週間に合わせて開催された市民向け人権講演会にて、にしゃんたが講演を担当いたしました。
本講演会は、市民一人ひとりが人権について学び、考える機会を提供することを目的として行われたもので、当日はおよそ300名の参加がありました。主催者からは、「参加された方からは、お話もおもしろく、心に残る講演となった、違いに対する考え方のまとめがわかりやすかったなどという声が多数あり、満足いただけたようでした」とのご報告を頂戴しました。
スリランカから来日し、日本で暮らし、学び、働き、そして教えるという日々のなかで出会ってきた、さまざまな“ちがい”。それらは、時に壁となり、戸惑いを生むこともありましたが、同時に新たな視点や出会い、学びをもたらしてくれるものであった——。そうした実体験をもとに、率直で温かな語り口でお話しさせていただきました。
講演では、文化や国籍、宗教、言葉、立場の違いを排除するのではなく、その「ちがい」と出会えること自体が豊かさであり、人と社会を育てていく“種”でもあるという考えが、身近なエピソードとともに語られました。
知識や理屈では届かない「まなざし」を持ち合うことの大切さ。誰とでも、違ったまま、つながることができるというシンプルでありながら本質的なメッセージは、会場全体に静かに、そして深く響いていたように思います。講演後、主催者の方からは「参加された方々の表情からも、学びや気づきがあったことが伝わってきた」とのお声をいただきました。
最後に上映された映画『最強のふたり』では、障がいと国籍という“ちがい”を超えて育まれた友情が描かれ、語られた内容と深く響き合う、印象的な締めくくりとなりました。
本講演では、日本国憲法における人権の基本的立場についても言及がありました。憲法は、国の最高法規として「国民主権」「平和主義」と並び「基本的人権の尊重」を三大原則の一つに位置づけています。
第11条には、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」と明記され、第14条では「すべて国民は、法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、差別されない」と規定されています。条文上は「国民」という表現が使われていますが、実際の運用においては、日本に在住する外国籍の人々にも基本的人権の保障が原則として及ぶというのが、通説的な法的解釈および最高裁判例における立場です。
とはいえ、すべての権利が一律に保障されているわけではなく、その性質や内容によっては慎重に取り扱われているものもあるのが実際のところです。そこには単に「法律でどうなっているのか」という問題だけでなく、「私たちはどんな社会を目指しているのか」という、より根本的な問いが含まれています。その問いかけが、講師の言葉を通して、会場にいる一人ひとりの心に静かに届いていたように感じられました。
人権の考え方は国内法にとどまらず、国際社会でも広く共有されています。1948年に国連で採択された「世界人権宣言」では、第1条において「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利において平等である」と宣言されています。第2条では、人種、言語、宗教、国籍などに基づく差別の否定が明示されており、人権の普遍性と国際的な適用を基礎づけています。
また、日本国内では法務省が「人権啓発活動強調事項」を毎年発表しており、その中で「外国人の人権を尊重し、多様性を認め合う社会づくり」が重要な柱の一つとして掲げられています。にしゃんたの講演は、これらの国内外の人権理念と共鳴しながら、実生活に根ざした言葉でその必要性を伝えるものとなりました。
(講演当日は、手話通訳や要約筆記、バリアフリー音声ガイドも完備され、どなたでも安心して参加いただける環境が整っていました。)
法律や条文に明記されているからといって、人権がすべての人に実質的に保障されているとは限りません。無意識の偏見や、制度の隙間に潜む排除、慣習的な差別など、目に見えにくい障壁は今もなお社会の中に存在します。
だからこそ、日常の中で人権を意識する「人権啓発」の取り組みが不可欠です。特に、学校教育や地域での対話の場、職場の研修、メディアによる発信など、あらゆる場面で人権を自分ごととして捉えるきっかけが求められています。
本講演のように、体験に基づく言葉とユーモアを交えて語られる人権の話は、聞く人の心に届き、行動のきっかけを生む大切な機会、となります。
後日、主催者様よりアンケート結果の集計内容をご共有いただきました。そこからも、本講演が多くの参加者に深い共感と学びをもたらしたことが明らかになりました。
「人権への関心・理解が深まった」と回答された方は91.0%にのぼり、さらに「今回の内容を家族や友人と話したい」「何か行動を起こしたい」と感じた方も75.0%と、非常に高い関心が寄せられました。人権講演が単なる情報の伝達にとどまらず、行動や対話のきっかけとなっている様子がうかがえます。
自由記述欄には、講演の内容に対して、
「分かりやすい講演だった」「楽しく理解できた」「大変わかりやすいお話で、違いについて多くを学べた」「非常にわかりやすく、面白かった」といった声が寄せられ、理解の深まりが感じられました。
また、にしゃんたの語りのスタイルについても、
「ユーモアを交えた話が面白かった」「関西弁を聞くだけでも楽しくなった」「気どらず、気さくな話しぶりが心地よかった」「楽しむことの大切さが伝わってきた」といった、親しみやすさに対する評価も多く見られました。
さらに、「“違い”をユーモアたっぷりに語ってくれた」「世の中には“ちがい”があふれているのに、なぜ受け入れ合えないのかと考えさせられた」「いろんな違いを考える機会になった」「違いを受け入れることの大切さを実感した」といった、まさに本講演の核心となるテーマへの反応も印象的でした。
教育現場への示唆としては、「子どもたちが正しい心と知識を身につけられる教育現場にしなければならないと強く感じた」との声もあり、次世代への希望を感じさせる意見も寄せられました。
そのほか、「目からうろこが落ちるようだった」「すばらしい言葉をいただいた」「常に自分をアップデートしていきたい」「マイクロアグレッションに気をつけようと思った」といったコメントからは、理念の深い浸透と気づきの瞬間がにじみ出ており、講演の意義が参加者の心に確かに届いていることが伝わってきます。
世代や立場を越えた共感の広がりの中で、にしゃんたの語りが“ちがいを力に変える”可能性を引き出した――そのことを、参加者一人ひとりの生きた言葉からもお聞きすることができ、たいへん嬉しく思っております。ありがとうございます。
にしゃんたは、社会学者としての学術的知見と、自身の異文化体験、現場での実践を生かし、全国で多文化共生・人権・ダイバーシティ・国際理解・SDGsなどをテーマにした講演活動を展開しております。企業研修、自治体イベント、教育機関、市民集会など、あらゆる現場に対応可能です。講演をご検討の方は【講演依頼・お問い合わせフォーム】よりご連絡ください。
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